今日はコルドンブルーの卒業試験の日。いつにも増しての重い荷物を抱えて、マスク姿で代官山へ

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コルドンブルーのフランス料理講座は、基礎、初級、中級、上級コースの4段階から構成されていて、それぞれのコースごとに実技の修了試験があります。
基礎〜中級の修了試験は、そのコースで習った料理の中から試験問題になる10品が1週間前に発表され、当日くじ引きで何を作るかを決めます。
実習室にも持ち込んでいいのは、当日渡される材料表のみ。
作り方を書いたレシピやメモやノートの類は一切持ち込めません。
材料表だけを頼りに、2時間半でくじで当たった料理を作り終えないといけなくて、
提出時間が1分がオーバーするごとに減点され、5分オーバーするとアウト!で追試になってしまいます。
時間オーバー以外にも
「お肉のキュイソン(火入れ)が甘い」とか
「ムースが固まっていない」とかの決定的な失敗も追試です。
追試になると、翌日にまた学校に来て「追試料金」を支払ってもう一度同じ料理を作らなくてはいけないそうです。くじ引きで何が当たるかは分からないので、1週間で10品の復習をしないといけません。
試験前の1週間、昼と夜と一日2回バター&生クリームたっぷりの本格フレンチを作り続け、胃袋が悲鳴を上げたことも!
最後の上級コースだけは、修了試験の方法が違っていて、クラスごとに課題の食材(鳩、鶉、子羊、ブレス産鶏、スズキ、イトヨリ・・・)が発表され、それを使ったオリジナルレシピを考えて、フランス語でルセット(レシピ)を起こして提出します。その後シェフとの面談でいろいろとアドバイスを貰い、学校の授業中に一度トライアル(試作)をして、手直しした最終ルセットを提出してから、試験本番を迎えます。
私たちのクラスの課題食材は「イトヨリ」でした。イトヨリ4尾を使ったお料理とそれに合うソース1種類、ガルニチュール(付け合わせ)2〜3種類のオリジナルレシピ(4人分)を考案し、試験当日は3時間の下準備&1時間45分の仕上げの計4時間45分で、それらのお料理を作り上げて盛りつけ、複数のシェフにより採点されます。
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試験の直前に不覚にも風邪をひいてしまったので、今日はフラフラしながら試験に臨みました。
体調が悪かったせいか、試験の最中に指がつって作業が出来なくなったり(指がつるのは生まれて初めての経験! 年下のアシスタントさんに泣きついたら、一緒に体操!?をしてくれました。コルドンのアシスタントさんは若いけれど、みんな優秀です♪)、こむら返りを起こしかけたり・・・・・・で、自分としては納得の行く仕上がりではなかったけれど、シェフの評価はまぁまぁだったみたいで、無事合格しました!
クラスメートのみんなも合格
で、試験修了後はシェフやアシスタントさんと一緒に記念撮影をしたり、みんなのお料理を試食しあったり・・・★最後が不完全燃焼で終わったので、あまり達成感&開放感はありませんが、2年間の学生生活が終わりました。
風邪をひいてしまったのも、自分の責任ですから仕方ありません。。。
後ろを振り向いて立ち止まっていても仕方ないので、前に進もうと思います♪******************************************************************************
特にフランス料理の勉強がしたかったわけではなく、なんとなく通い始めたコルドンブルー。
「乗りかかった船だから・・・」と、そこに2年間通い続けたことで、多くのことを学んだ気がします。
それはお料理の勉強というよりも人生勉強(!?)、私にとっては精神修行or人生修行の場だったような気さえします。
今までの人生、嫌なことや苦手のことはうまく避け、持って生まれた”運の強さ”と”要領の良さ”だけで全てを乗り切ってきた私は、自分の甘さや弱さを痛感すると同時に、
「世の中の人は、みんななんて努力家で偉いんだろう!そして精神的に強いんだろう!」と何度も思ったものです。
「コルドンブルーに来る人はみんなたくましい!」とか
「コルドンブルーは経済力と精神力と体力の3つが揃わないと通い続けられない」と言う人がいますが、本当にその通りだと思いました。
京都から引っ越してきて間もないのに、毎週土曜日に2歳のお嬢さんを旦那さんに預けて千葉から通ってくるEちゃん、
出産半年でコルドンに通い始め、毎週お昼休みにトイレで搾乳をして、家では子供が寝た深夜2時くらいからキッチンに立って練習するYちゃん、
会社で残業して帰ってきて疲れ切っているはずなのに夜の10時くらいから練習を始めるバリキャリのRさん、
静岡のイタリアンレストランでチーフパティシエをしているY子ちゃんは毎日睡眠時間は3時間位、それなのに週1回のお休みの日に朝の4時起きで在来線の始発に乗って通ってきて、授業が終わると
「明日の仕込みがあるから・・・」と飛んで帰っていました。
そんなクラスメート達の姿を見ていると、頭が下がるような思いでした。。。みんなそれぞれの事情を抱えながらも、その中で時間とお金を生み出し、毎週土曜日に体に鞭を打つようにして(!?)通ってきていて、午後のデモンストレーションの授業では睡魔に打ち勝つための
「眠気冷ましの強力ガム」が回ってきたり・・・(笑)
もちろん楽しいことや嬉しいことも沢山!週に一度立場が逆転して”教えてもらう側”になることがとっても新鮮でしたし、クラスメートと情報交換をしながらのお料理の勉強がまるで高校の部活or文化祭の準備のようなノリで楽しくて、
第2の青春!といった感じの日々でした♪
(第1の青春は新聞社時代
あれからもう20年も経ったなんて・・・)遠い異国のフランスの食文化を知ることが出来、フランス語のメニューが分かるようになったり、
今まで触ったこともない食材(鳩、うずら、活きオマール海老、活きザリガニ・・・)と向き合ったり・・・、
「こんなことが出来るようになっても何の意味もないわ〜」と思いながらも、今まで出来なかったこと(家禽類の解体、マッシュルームの飾り切り・・・)が出来るようになるのはやはり嬉しいことでした。
人間って
”楽しいだけ”では、充実感は味わえないですよね。
「楽しいけれど、大変!」「大変だけれど、楽しい!」相反する2つのことが同時に存在してこそ、充実感や達成感って味わえるんだと思います。
きっとコルドンでの日々も何年かして振り返ったら、私の人生の中でキラキラと光る思い出
になっていることでしょう。**************************************************************************
2年間学校のロッカーに預けておいた「my包丁セット」を持って帰ってきました。
開くとこんな感じです(↓)。

学校で使っていた調理道具も宅配便で送りましたので、来月のレッスンからお教室のゴムベラや泡立て器も倍増しているかもしれません(笑)